家庭における食中毒予防に関する調査 

2018年04月23日

東京都は、家庭での食中毒予防に向けた効果的な普及啓発を実施するため、都民の食中毒予防に関する認知状況や実践状況等の実態調査を行いました。
本調査は、(1)予備調査(Web アンケート)、(2)グループインタビュー調査、(3)
本調査(Web アンケート)の 3 種類を実施した。

調査結果のポイント


予備調査の結果

(1)食中毒になった経験

これまでに食中毒になったことがある人は、全体の約 25%。

  • 最近 1 年間に食中毒になった人は 3.3%。2 年以上前に食中毒にかかった人は 21.6%。
    これらを合わせた「これまでに食中毒にかかったことがある」人は、約 25%である。
  • 食中毒経験者のうち、「原因菌等はわからない」が過半数を占める。
  • 原因菌等の回答があったものの中では「ノロウイルス」が 2 割強で最も高い。

(2)普段の食事で気を使っていること

普段の食事で気をつかっていることの中では、「食中毒の予防」は最下位(22.8%)。

  • 普段の食事で気をつかっていることを尋ねると、「栄養のバランス」、「朝食を抜かない」が 5 割前後で上位の一方、「食中毒の予防」は 22.8%で最も低い。
  • 性別では、女性の方が「食中毒の予防」に気をつかっている。
  • 食中毒の経験別では、「最近 1 年間で病院にかかった」人で「食中毒の予防」に気をつかっている割合が高く、5 割以上。

(3)食中毒予防として取り組んでいること

食中毒予防のために取り組んでいることとして、最も実施率が高いのは、「トイレの後に手洗いをする(家庭)」で 71.6%。

  • 食中毒予防として取り組んでいることを食品の購入時、家庭、弁当、外食時に分けて尋ねると、食品の購入時では「消費期限・賞味期限を確認する」、家庭では「トイレの後に手洗いをする」、弁当は「変な臭いがしたら食べない」、外食時は「おいしいと評判の店でも不衛生に見えたら入らない」がそれぞれ最も高い。
  • 性別では、男性よりも女性の方がすべての項目で取組割合が高く、特に「トイレの後に手洗いをする」は男性 6 割に対して女性は 8 割と差が大きい。
  • 食中毒経験別では、最近経験している人ほど取組割合の高い項目が多い。

(4)食中毒に対する認識

食中毒に関する情報として、最も多くの人が正しい情報と認識していたのは「食中毒予防のためには、とにかく生もの(生肉、生魚等)の取扱いに注意が必要だ」で 55.8%。
「食中毒は、夏場の発生件数が多い」は、現状と比較して必ずしも正しいとはいえない情報だが、正しい情報と回答した人が 50.8%。

  • 性別でみると、女性では「食中毒予防のためには、とにかく生もの(生肉、生魚等)の取扱いに注意が必要だ」が最も高く、男性では「食中毒は、夏場の発生件数が多い」が最も高い。

(5)食中毒の原因菌等に対する認知

食中毒の原因菌等のうち、最も認知度が高いのは「ノロウイルス」で 97.1%。

  • 食中毒の原因菌等で最も認知率が高いのは、「ノロウイルス」で 97.1%。次いで、「サルモネラ」93.6%、「腸管出血性大腸菌(O157)」85.4%となっている。一方、「カンピロバクター」は 54.0%、「ウェルシュ菌」は 29.0%となっている。
  • 「アニサキス」は「原因、症状まで知っている」が 26.5%と、「ノロウイルス」43.3%に次いで高い。一方、「カンピロバクター」8.8%、「ウェルシュ菌」5.0%など、「原因、症状まで知っている」が 1 割に満たない原因菌等も多い。

本調査の結果

(1)食品の取扱いに関する食中毒予防効果の認識及び実践状況

ア 食品の購入時、家庭での保存時
●新鮮なものを購入する、肉や魚はビニール袋に入れて持ち帰る、冷蔵庫では肉や魚の汁がほかの食品にかからないようにすることは、5 割以上の人が必ずやっている一方、保冷に関する項目では、必ずやっているとは言えない人が 6 割以上。

  • 「冷蔵や冷凍の必要な食品は買い物の最後に購入し、保冷バッグに入れるなど、冷やして持ち帰る」ことが食中毒予防に絶対に必要と思っている人のうち、できてないこともあるとの回答が 4 割強。同じく、「冷蔵庫は詰めすぎにしない」、「冷蔵庫や冷凍庫の開け閉めはできるだけ少なくする」、「冷蔵庫や冷凍庫に入れていても、開封後の食品や家庭で調理した食品は、早めに使い切る」では 3 割強。

イ 下準備や調理の時
●「調理の前、生の肉、魚、卵を取り扱った時、トイレの後は、手を洗う」は、「絶対に必要」が 73.2%、「必ずやっている」が 72.1%。いずれも全項目中で最も高い。性別では、男性の方が必要性の認識、実施率ともに低い(女性と比べ 20 ポイント程度の差)。
●肉は水で洗う、常温でなるべく早く解凍する、解凍後使わなかったら再凍結することについて、食中毒予防のためにやった方がいいと誤解している人が 6 割強。
●酢や梅干しを入れることで食中毒予防に効果があると認識している人が 8 割強。

  • 「手や食材をアルコール消毒する」について、食中毒予防に絶対に必要と思っている人のうち、できてないこともある人が 5 割強。同じく、「体調の悪い時は調理をしない」では 4 割強。「タオルやふきんは乾いて清潔なものを使用する」、「肉用、野菜・果物用など、食材によってまな板を使い分けている(または裏返すなどしている)」では 3 割強。
  • 「肉は表面の菌を取り除くためにまず水で洗う」について、食中毒予防に絶対に必要と誤解し、実践している人は、全体の 11.2%。同じく、「冷凍の食品は常温でなるべく早く解凍する」では 13.1%、「冷凍の食品を解凍した後、使わなかったらまた冷凍保存する」では 14.3%。
  • 食中毒予防に絶対に必要と認識し、必ず「保存性を高めたいときは酢を入れる」人が全体の 8.4%、必ず「弁当には、殺菌のため、梅干しを入れる」人が 10.3%。

ウ 食事や残った食品
●「食卓に着く前に手を洗う」は、「絶対に必要」、「必ずやっている」ともに 6 割強。
ただし、性別では、男性の方が必要性の認識、実践率ともに低い(女性と比べ 10 ポイント強の差)。
●「わさびをつける」ことで、食中毒予防に効果があると認識している人は 8 割強。

  • 食中毒予防に絶対に必要と認識し、必ず「刺身を食べるときは、殺菌のため、わさびをつける」人が全体の 31.5%。
  • 「残った食品を温め直す時は、食べごろになるまで加熱する」について、食中毒予防に絶対に必要と誤解し、実践している人が全体の 49.2%。
【カレー等の保管、再加熱の状況】
  • カレー等が残った場合、小分けして冷蔵・冷凍が 40.5%、鍋のまま冷蔵保管が 28.3%で、鍋のまま常温保管は 17.9%。
  • 残ったカレー・シチューを翌日以降も食べる人は 98.2%。
  • 冷凍する場合を除き、保管方法によって、いつまで食べるかの傾向に大きな差はない。
  • 「作った鍋のまま、常温保管」する人のうち、3 割弱が 3 日後まで食べている。
  • 保管したカレー等の再加熱は、「食べごろの温度になるまで」と「再加熱しない」をあわせて 35.4%。また、「作った鍋のまま、常温保管」する人のうち、4 割程度が「食べごろの温度になるまで」しか再加熱していない。

(2)食品表示の確認及び順守状況

●「賞味期限」、「消費期限」は 8 割強が常に見ているが、守っているのは「賞味期限」
26.3%、「消費期限」42.6%。
●「調理方法・使用方法」、「保存方法」は、「常に見ている」、「守っている」ともに 4 割前後。

  • 期限表示は女性の方が見ている割合が高いが、守っている割合は男性の方がやや高い。
  • 調査したすべての表示項目について、男性の方が見ていない割合が高い。

(3)食中毒に関する家庭内での教育状況

●子供に教えていることは、親自身も必ずやっている割合が高い。

  • 子供に「食べる前に手を洗うこと」を教えているのは、71.6%
  • 菌をつけないための対策が比較的教えられている一方、菌を増やさない、やっつけるための対策を教えているのは、3 割前後。

(4)食中毒予防に関する情報との関わり

ア 情報源

  • 食中毒に関する情報を実際に得たことがあるのは、「テレビ」が 75.3%で最も高く、「新聞」が 35.6%、「家族や知人の話」、「雑誌(週刊誌等)」、「医療機関のポスター・リーフレット」が 2 割前後で続く。
  • ここに情報あれば見るという媒体も「テレビ」が 59.5%で最も高く、次いで「新聞」35.4%、「医療機関のポスター・リーフレット」27.6%が上位に。信頼できる情報源も同順位。
  • レシピサイト利用者のうち、掲載されたレシピに食品衛生面での疑問・不安を感じたことがある人は 42.6%。

イ 情報を見てみようと思うとき及び知りたいこと

  • 食中毒予防に関する情報を見てみようと思うときは、「ニュース等で食中毒が話題になっているとき」が 68.8%で最も高く、「時間に余裕のあるとき」41.3%、「自分や身近な人に食中毒が疑われたとき」31.4%が続く。
  • 食中毒に関して知りたいことは、「リスクの高い食品」、「家庭での食中毒予防のポイント」、「原因別症状と対処方法」がトップ 3。

ウ パンフレット等を手に取りやすい場所

  • 都のパンフレット等を手に取りやすい場所としては、「医療機関」の割合が最も高く 5割強。次いで「スーパー」、「郵便局・銀行」、「役所・公民館」が 3 割以上で上位。
  • 就学前の子供がいる人では 65.0%が保育所や幼稚園で「手に取る」としている。

調査概要


(1) 予備調査の概要
ア 目的 都民全体を対象に、家庭での食中毒予防や食中毒菌等に関する関心度、認知状況、取組状況、情報ニーズ等を概括的、定量的に把握する。
イ 調査手法 Web アンケート調査
ウ 調査期間 2017 年 11 月 8 日(水)~10 日(金)
エ 対象者 都内在住の 20 歳~79 歳
オ 回収標本数 3000 サンプル

(2) グループインタビュー調査の概要
ア 目的 実際に家庭で主に調理を担当している都民を対象に、家庭での食中毒予防に関する認知状況、取組状況、情報ニーズ等に関して、具体的、定性的に把握する。
イ 調査手法 グループインタビュー
ウ 調査期間 2017 年 12 月 4 日(月)、5 日(火)
エ 対象者 都内在住の家庭で主に調理を担当している人
オ グループ構成 20-30 代、40-50 代、60-70 代
(各グループ男性 2 名、女性 4 名の計 6 名で構成)

(3) 本調査の概要
ア 目的 予備調査、グループインタビュー調査の結果を踏まえ、実際に家庭で週に1回以上調理している都民を対象に、食中毒予防に関する認知状況、取組状況、情報ニーズ等を定量的に把握する。
イ 調査手法 Web アンケート調査
ウ 調査期間 2018 年 1 月 26 日(金)~30 日(火)
エ 対象者 都内在住の 20 歳~79 歳で、週に 1 回以上自宅で調理をする人
オ 回収標本数 1000 サンプル

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