働く人の「コンプライアンスと内部告発」に関する意識調査(20歳~69歳の給与所得者男女対象) 

2018年10月10日

共同ピーアールの調査・研究機関PR総研は、企業・組織で「働く人の『コンプライアンスと内部告発』に関する意識調査」を実施しました。同調査は2003年および2012年にも実施しており、過去2回との比較を行いました。今回は新たに、「コンプライアンス活動の導入実態」と「パート・アルバイト」を調査対象に加え、調査分野を拡大しました。

調査結果サマリー


  • 通報すべき不祥事「労基法違反」「ハラスメント」が1位、2位に急浮上
    社員/経営者の通報すべき不祥事1位に前回6位の「労基法違反」が、2位に前回9位の「ハラスメント」が入る。パート・アルバイトでは「ハラスメント」が「労基法違反」を上回る。
  • 社員/経営者の「内部告発は有効」「匿名なら告発する」が半減、「分からない」が急増
    「内部告発は有効」と考える社員/経営者は、前回調査の41%から21%に半減。「匿名なら告発する」も社員/経営者の40%から22%へと半減。いずれも「分からない」が急増し、迷いが明らかに。匿名性の信頼が薄れ、告発の意思が低下。
  • 「今後は不祥事が減少」
    今後「不祥事は増加」と答える社員/経営者は前回の36%から10%へと大幅減少、代わりに「減少・無くなる」が18%に上昇し逆転。減少理由の4割以上が「社内コンプライアンス意識の高まり」。コンプライアンス導入企業では、今後の不祥事は「減少・無くなる」が未導入企業の3倍近くに。
  • 通報ルートは「社外の公的窓口」がトップ、コンプライアンス導入企業では「社内窓口」が機能
    通報ルートとして「特に思い当たるものがない」が全体の半数近く。次いで公的ルート(消費者相談センターなど14%、監督官庁の相談窓口13%)が上位。ただしコンプライアンス導入企業では社内窓口が上位に。
  • 不祥事が起きたときの組織の対応は不明、コンプライアンス活動で大きな差
    コンプライアンス違反が起きた時に所属する組織の対応を「予測できない」が過半数、パート・アルバイトでは6割以上。しかし、コンプライアンス導入組織では「組織を挙げて取り組む」が4割以上に。
  • 半数近くが「コンプラアンス活動はない」
    何らかのコンプライアンス活動を導入している組織は54%止まり。活動は教育と委員会の設置が主。
  • 公益通報者保護制度は知られていない、必要は4割止まり
    公益通報者保護法の施行から12年経ても「制度を知らない」が全体の57%。03年調査では「公益通報者保護法を制定すべき」が71%と支持されたが、今回「制度は必要・一定の効果ある」は全体の4割止まり。コンプライアンス導入企業では、「機能している」が「機能していない」を上回る。

本調査により、コンプライアンス活動を導入している組織は、コンプライアンス意識が高く、今後、不祥事が減少すると考える人が未導入組織を大きく上回る結果となりました。また、通報ルートとしてコンプライアンス委員会やヘルプラインなどの内部窓口が機能することがわかりました。不祥事発生時には、42%が組織を挙げて取り組むと答え、コンプライアンス活動が組織の信頼強化につながることが明らかになりました。各項目の概要は以下のとおりです。

調査結果


●通報すべき不祥事 1位 「労基法違反」、2位「ハラスメント」。前回6位、9位から急浮上

社員/経営者では、通報すべき不祥事について過去の調査(2012年)と比較すると、2012年に2位、1位だった「データ改ざん」「不正経理操作」が3位、4位に下がり、2012年には下位(6位、9位)だった「労働基準法違反」(48%→51%)、「ハラスメント」(35%→51%)が1位、2位に上がりました。
パート・アルバイトでは、「ハラスメント」が70%と「労基法違反」(65%)を上回るトップで、社員/経営者(51%)を大きく上回りました。

●社員/経営者の「内部告発は有効」、「匿名なら告発する」は半減。「分からない」が急増

内部告発の有効性について、社員/経営者回答の「有効」(21%)、「内部で警告後改善されなければ告発する」(25%)とあわせて半数近くが評価しているものの、「分からない」が36%に上り不透明感が見られます。2003年(31%)、2012年(41%)と上昇してきた有効との評価が、今回半減しました。
告発の意思については、「匿名なら告発する」は、社員/経営者の40%(2012年)から今回22%へ半減した一方で、「分からない」(22%→36%)が増加しました。匿名を重視する傾向は薄れるとともに、告発についての迷いが見られます。

●今後は不祥事が減少 ~コンプライアンス導入組織で顕著~

今後の不祥事については、減少傾向が認められました。社員/経営者の「不祥事は増加傾向にある」との認識は、過去2003年(32%)、2012年(36%)と増えましたが、今回の調査では10%に下がり、「減少する」という認識(減少する+無くなった)が7%から18%に増加して、逆転しました。ただし、「分からない」とする認識が同5%から40%に増え、不透明感も高まっています。
不祥事の減少理由は、「社内のコンプライアンス遵守の意識の高さ」が43%で最多でした。
コンプライアンス活動が導入されている企業を見ると、「分からない」が23%に減少し、「減る+無くなった」が27%にUPしました。

●通報ルートは社外が上位に、コンプライアンス導入企業では「社内」優先

内部告発の告発ルートは、「消費者相談センター」(14%)、「管轄公的機関窓口」(13%)が上位2つを占め、2012年同様に社外の公的機関が支持されました。次いで、「コンプライアンス委員会」(11%)、「ヘルプライン」(10%)と社内の窓口が3位、4位となりました。SNSやインターネット掲示板は前回に引き続き下位に位置されました。
一方でコンプライアンス導入企業では、「コンプライアンス委員会」(24%)1位、「ヘルプライン」(17%)2位となり、社内通報ルート利用が上位を占めました。

●不祥事が起きたときの対応は不明、コンプライアンス活動で大きな差

不祥事が起きたら自社がどう対応するかは、全体の56%、社員/経営者の54%が「予想できない」と回答しました。パート・アルバイトでは「予想できない」が63%とさらに高くなりました。
コンプライアンス導入企業では社員/経営者の「予測できない」が31%と、未導入企業の69%と比べ半数です。「情報を公開し、組織を挙げて取り組む」は未導入企業の3%を大きく上回り、導入企業は20%に達しました。

●半数近くが「コンプラアンス活動はない」

コンプライアンス活動が実施されていないという回答が全体の46%を占めました。
具体的な活動としては、「定期的なコンプライアンス教育」が最多の27%、次いで「コンプライアンス委員会の設置」(16%)、「不定期なコンプライアンス教育」(15%)、「内部通報制度の設置」(14%)が挙げられました。

●公益通報者保護制度は知られていない、必要は4割止まり

公益通報者保護制度について、「知らない」が全体の57%に上り認知が進んでいないことが明らかとなりました。必要性についても42%に止まりました。
公益通報者保護制度の認知者の評価を、コンプライアンス活動の有無別でみると、「何かしら機能している」は導入企業の51%:未導入企業では23%、「機能していない」は導入企業の29%:未導入企業の54%となり、評価が逆転しました。

(コンプライアンスとは、法律や規則、社会的な通念を守ることを意味し、企業においては法令順守ならびに常識や倫理に照らして正しい行動を行うことを指します)

調査概要


調査実施日:2018年7月28日~8月6日
調査方法:Webアンケート調査
調査対象:全国20歳~69歳の給与所得者 男女500人
調査主体:共同ピーアール株式会社
実施機関:株式会社クロス・マーケティング

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[共同ピーアール]
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