顧客体験価値(CX)ランキング2019(18歳以上の男女対象)
2019年11月26日インターブランドジャパンのグループの一員であるC Space Japanは、日本初の顧客体験価値(CX:Customer Experience)のランキングを発表しました。本ランキングは、これまで欧米で実施してきた「顧客体験価値(CX)調査」をこの度日本で初めて実施し、顧客視点でのすべての体験を通じた、ブランドの「顧客体験価値(CX)スコア」を数値化し、分析したものです。
“顧客体験価値(CX)”とは「顧客視点のすべてのユーザーエクスペリエンス」のことであり、商品やサービスの機能や性能などの機能的価値だけでなく、そのブランドや企業に関わるすべての体験を通じて顧客が経験する、喜びや満足感などの情緒的価値まで含みます。従って、顧客のCXを高めるためには、顧客の期待や本質的に求める情緒的価値を理解し、客の期待を超える体験を提供し続け、顧客体験価値を高めていくことが重要となります。
CXは日本でも広く知られる概念となり、多くの企業がその向上に取り組んでいます。しかし、実際には「企業視点」から見た顧客との既存の各タッチポイント(接点)の改善、顧客の不満を理解・解消に留まるケースや、顧客ニーズを超える過剰なサービスが提供されるケースなど、必ずしも顧客視点から見て望ましい取り組みではない事例も見受けられます。
2020年の東京オリンピックを控え、”Omotenashi” が改めて注目される中、ビジネスの世界でも顧客を中心に据える「顧客中心主義(Customer Centricity)」がスタンダードになりつつあります。社会のデジタル化が進み情報の非対称性が解消される中、企業が自ら売りたいものを作る時代は終わり、発信力を高めた顧客をパートナーとして尊重する企業だけが成長する世界が始まっています。その中で、多くの企業は、ターゲット顧客の明確化とその顧客が求めることを、より深いレベルで理解する必要に迫られています。
「顧客満足」や「顧客中心主義」とは何かに着目いただき、「真の顧客満足」に基づくブランディングについて、今一度検証する契機としてご活用いただくことが本ランキング発表の目的です。
CSpace 顧客体験価値(CX)ランキング2019
ランク/ブランド/CXスコア
- 1 カゴメ 7.47
- 2 クラブツーリズム 7.44
- 3 キユーピー 7.43
- 4 ANA 7.37
- 5 ニトリ 7.10
- 6 阪急交通社 7.02
- 7 味の素 6.98
- 8 コカ・コーラ 6.97
- 9 高島屋 6.86
- 10 タニタ 6.82
- 11 じゃらん 6.78
- 12 サントリー 6.75
- 13 オーケー 6.55
- 14 JAL 6.54
- 15 伊勢丹 6.49
- 16 マックスバリュ 6.37
- 17 ディズニー 6.27
- 18 セリア 6.21
- 19 ファンケル 6.21
- 20 任天堂 6.19
- 21 イオン/イオンモール 6.11
- 22 ローソン 6.06
- 23 スターバックスコーヒー 6.03
- 24 Nintendo Switch 6.00
- 25 無印良品 5.99
*15人以上から想起されたブランドの中でのランキング
年代別ランキング
1位のブランドは年代毎にすべて異なり、すべての年代で共通してトップ10に入ったブランドは一つもありませんでした。その中で、全体ランキング4位のANAや11位のじゃらんは、幅広い年代でトップ10にランクインしています。
年代別の特徴としては、若年層では「娯楽・ゲーム・エンターテイメント」業種が上位に多くランクインしているのに対し、年齢が上がるとともに「食品」や「日用品/雑貨販売店」などが増え、60歳以上では「旅行・交通」のブランドが上位にランクインする結果となりました。
18-29歳
1 Google
2 ディズニー
3 ディズニーランド
4 ANA
5 ユニクロ
30-39歳
1 JAL
2 スターバックスコーヒー
3 任天堂
4 ディズニーランド
5 ANA
40-49歳
1 ANA
2 じゃらん
3 プレイステーション
4 ファンケル
5 セリア
50-59歳
1 伊勢丹
2 キユーピー
3 JTB
4 ANA
5 じゃらん
60歳以上
1 味の素
2 カゴメ
3 花王
4 ホンダ
5 クラブツーリズム
業種別CXスコア
様々な業種の中で、「食品・飲料メーカー」が他を引き離して非常に高い顧客体験価値の評価を得ました。続いて、「デパート・ショッピングセンター・ネット通販・ネットオークション」や「旅行・交通」「日用品販売」などの生活に密着した業種が続き、情緒的価値と密接に関わる業種が高い顧客体験価値を提供しています。その一方で、「メディア・情報」「情報通信」「金融関連」といったいわゆる”規制業種“は、非常に低いCXスコアとなりました。
CXスコア算出方法
CXスコアは、「好きなブランド」や「優れた顧客体験を提供するブランド」を直接質問した結果ではありません。一般消費者に「顧客の気持ちや求めることを、よく理解している」「顧客の気持ちや求めることをあまり理解していない」ブランド/企業をまず頭に思い浮かべてもらい、そのブランドについて「顧客が求める体験価値の5要素」を具体的な項目に分解した21項目を評価してもらいます。
同様に、ブランド/企業を思い浮かべてもらい、そのブランドについて21項目を評価してもらい、それらの数字からなる合成変数としてブランドのCXスコアを算出しています。
*15人以上から想起されたブランドのみをランキングの対象としています
調査概要
■調査時期:2019年7月
■調査対象者:インターネットモニター登録の18歳以上の一般個人(男女)
■回答数:4,746人
■調査手法:インターネットリサーチ
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