野菜・果物の消費行動に関する調査-2014年調査- 

2014年12月03日
JC総研では、2008年1月より、農畜産物の消費行動をテーマに全国の消費者を対象とした Web 調査を実施。調査の22回目として「野菜・果物の消費行動に関する調査」を2014年7月に実施。

【調査結果】

1.野菜を食べる頻度、『週に1日未満』が全年齢層で1割超に

野菜を食べる頻度について尋ね、属性別に示した。
トータルでは、『毎日』(「ほぼ毎食」+「ほぼ毎日」)は、62.0%(前回 64.7%)と前回調査に引き続き減少し、「週に 1 日未満/食べない」は 12.8%(同 8.5%)と 1 割を超えた。属性別に見ても、『毎日』は単身女性を除き前回、今回ともに減少した。前々回(2012 年)と比較すると、全属性ともに5ポイント以上の減少となっている。一方、「週に 1 日未満/食べない」は全属性で 1 割を超えた。特に、単身男性は年々増加し、25.3%(同 22.0%)と 4 人に 1 人となった。単身層をはじめとして、野菜の摂取不足が懸念される。
年齢層別に見ると、『毎日』は 20 代以下を除いて横ばいあるいは減少した。一方、「週に1 日未満/食べない」は 20 代以下を除き増加し、全年齢層で 1 割を超えた。特に、30 代、50 代では増加幅が概ね 10 ポイントに上った。年齢層が上がるにつれ摂食頻度は高まるものの『毎日』となると高年齢層でも 8 割に満たない。

2.果物を食べる頻度、単身男性は『週に1日未満』半数超に

果物を食べる頻度について尋ねた。
『毎日』(「ほぼ毎食」+「ほぼ毎日」)はトータルで 29.3%(前回 31.5%)と前回に続いて減少した。属性別では、26.5%(同 26.4%)と横ばいであった既婚男性を除く属性で減少した。一方、「週に1日未満/食べない」は、トータルでは 28.4%(同 23.5%)と 5 ポイント増え、全属性ともに増加した。特に、単身男性は 50.5%(同 47.0%)と半数が週に 1 度も果物を食べていない。
また、年齢層別に見ると、『毎日』は 20 代以下を除く全年齢層で前回より減少した。一方、「週に1日未満/食べない」は 20 代以下を除いて増加し、50 代以下では 3 割を超えた。

3.カット野菜の利用頻度、単身男性で『週に1日以上』が概ね3割

サラダ用カット野菜を食べる頻度について尋ねた。トータルでは『週に 1 日以上』24.1%、「週に 1 日未満」29.6%、「全く食べない」46.3%と 4 人に 1 人が週 1 日以上利用している。属性別には、単身男性は『週に 1 日以上』37.7%が「全く食べない」32.7%を上回り、「ほぼ毎日」が1割に達した。一方、既婚層および単身女性の半数が利用しないと回答した。年齢層別に見ると、若年層ほど多く利用し、20 代以下では『週に1日以上』が 34.7%で 3 人に 1 人を占めた。
料理用カット野菜について見ると、トータルでは『週に1日以上』17.7%、「週に 1 日未満」29.4%、「全く食べない」52.8%とサラダ用に比べて利用頻度はやや少ない。属性別には、主婦、単身女性で「全く食べない」がほぼ6割に上った。単身男性でも『週に 1 日以上』26.6%、「全く食べない」39.5%とサラダ用よりも利用頻度は少ない。年齢層別では若年層ほど多く、20 代以下では『週に 1 日以上』が 3 割を超えている。また、70 代以上では「ほぼ毎日」が、サラダ用 7.0%、料理用 6.2%と若年層とほぼ変わらない結果となった。高年齢層も重宝しているようである。

4.単身男性で『野菜不足(不足気味)』が7割超に

日頃の食生活の中で自分自身は「野菜不足」だと思うかについて尋ねた。
トータルでは、「野菜不足」12.5%(同 13.2%)、「野菜は不足気味」38.4%(同 35.2%)と『野菜不足(不足気味)』だとの回答が半数を超えた。属性別に見ると、『野菜不足(不足気味)』は単身女性で 62.5%(同 58.0%)、単身男性で 73.5%(同 66.7%)と大きく増えた。一方で、「野菜不足ではない」は主婦 13.7%(同 10.9%)、既婚男性 17.2%(同 14.5%)と既婚層で増加した。

年齢層別では、『野菜不足(不足気味)』は 50 代を除く全年齢層で増加した。
若年層ほど『野菜不足(不足気味)』のポイントが高く、20 代以下 75.1%(同 74.5%)、30 代 67.2%(同 64.6%)、40 代 61.4%(同 60.6%)と 40 代以下では 6 割を超えている。一方で、「野菜不足ではない」は 1 割に満たない。単身層あるいは若年層は野菜不足だと認識しているようである。

5.「野菜不足ではない」と思う理由:「ほぼ毎食、食べている」が大きく減少

「野菜不足ではない」「野菜は不足していない方」と回答した人に、不足していないと思う理由を尋ねた。
トータルでは、「ほぼ毎食、野菜料理を食べているから」が 56.5%(前回 62.4%)、「家庭の食事で、使用する野菜の量が多いから」が 50.0%(同 51.0%)と前回に続き半数を超えた。3位は「色々な種類の野菜を食べているから」が 33.4%(同 39.5%)と上位の順位は変わっていない。属性別に見ると、「ほぼ毎食、野菜料理を食べているから」が、主婦および単身男性で大きく減少した。「色々な種類の野菜を食べているから」も単身男性を除き減少し、4 位の「果物を良く食べるから」23.0%(同 27.0%)は全属性ともに減少した。また、「市販の野菜ジュース等をよく飲んでいるから」は13.8%(同 16.1%)と減ったが、単身男性では 25.6%(同 17.9%)と増加した。野菜ジュースを飲む頻度が比較的多いことを裏付けているようである。上位 10 位までの理由を年齢層別に示したものである。年齢層が上がるにつれポイントも増える傾向が伺える。「ほぼ毎食、野菜料理を食べているから」は 60 代以上で 6 割を超えているのに対し、20 代以下では 4 割に満たない。

6.「野菜不足」と思う理由:「量の基準がわからない」がトップに

「野菜不足だと思う」「野菜は不足気味だと思う」と回答した人に、その理由を尋ねた。
トータルでは「量の基準/どれだけ食べれば足りるかが分からないから」が 32.1%(同 29.0%)とトップとなり、主婦および単身女性では概ね 1 割増加した。2 位の「食べる野菜の種類が少ないから」も 30.4%(同 33.3%)と 3 割を超え、単身層では増加している。また、「家庭の食事で、使用する野菜の量が少ないから」24.9%(同 26.6%)、「家庭の食事で、野菜を使った料理が少ないから」19.9%(同 24.1%)とそれぞれ減少したものの家庭の食事での野菜不足を感じる人は少なくない。前回レポートで指摘したとおり「量の基準が分からない」は 3 割を超えており、「野菜の必要摂取量 350g」が十分浸透しているとは言い難い。また、「野菜の価格が高く十分な量や多くの種類を買えないから」は 18.9%(同 24.1%)と減少した。調査時期の 7 月は、昨年と比べ野菜価格がやや落ち着いていたことも影響しているように思われる。
上位 10 項目を年齢層別に示した。「量の基準/どれだけ食べれば足りるかが分からないから」は 20 代以下では半数を占め、30 代以上と比較してポイントが高い。

7.「野菜不足」の解消方法:「家庭の食事で量を多くしたい」が減少

「野菜不足だと思う」「野菜は不足気味だと思う」と回答した人に、不足をどのように解消したいかを尋ねた。
トータルでは、「家庭の食事で野菜料理や使用する野菜の量を多くしたい」が 40.2%(前回 46.0%)とやや減少したものの抜き出ている。既婚男性は 30.4%(同 41.4%)と 1 割下がったのに対し、単身女性では 44.0%(同 36.2%)と増加した。2 位は 20.3%(同 22.0%)の「市販の野菜ジュース等を飲むようにしたい」である。単身男性では 31.9%(同 25.0%)と増加し、「家庭の食事で野菜料理や使用する野菜の量を多くしたい」を上回った。次いで、「果物を多く食べるようにしたい」が12.5%(同 12.9%)で続くが、単身女性では 11.0%(同 17.0%)と目立って減少した。市販の野菜ジュースや果物ジュースでも同様な傾向が伺える。
一方で、「対処の必要性は感じるが、特に何もしないと思う」は 26.4%(同 22.9%)と増加し年齢層別に示したものでは、「家庭の食事で野菜料理や使用する野菜の量を多くしたい」は年齢層が上がるほど増加し、70 代以上ではほぼ半数を占めている

8.野菜の購入金額は、単身女性で大きく増加

野菜の買い物 1 回あたりの購入金額を尋ねた。
トータルでのトップは、「301~500 円以下」31.2%(前回 34.8%)で、「300 円以下」21.4%(同23.2%)を含めて半数が『500 円以下』で買い物をしている。今回調査では、『501~1000 円』が増加し、「801~1000 円」は 22.6%(同 19.4%)と「300 円以下」を上回った。属性別に見ると、単身女性は『500 円以下』が 58.5%(同 72.9%)と際立って減少した。主婦でも 47.2%(同 51.8%)と減少し、ともに『501~1000 円』が増加した。一方、単身男性は「300 円以下」が 50.7%(同 46.9%)と半数を占め、『500 円以下』では 8 割に上った。
野菜を購入する際の平均金額を示した。トータルでは 762 円(同 728 円)とやや増加した。属性別では、単身女性で大きく増加し 600 円を超えた。一方、単身男性は減少し、それ程大きくなかった単身女性との差が 200 円近くに開いた。

9.野菜の購入先として、「コンビニ」が伸長、カット野菜では2割に迫る

日頃、野菜を購入している人に、主な購入先を尋ねた。
1~3位を合計すると、トップは依然「スーパー」で 95.4%(前回 96.7%)と他の購入先を大きく引き離している。2 位以降は「青果専門店」21.2%(同 21.2%)、「農産物直売所」18.6%(同 19.1%)、「生協」18.4%(20.6%)と続き、2~4 位の購入先はそれぞれ 2 割程度を占めている。
「コンビニ」は 10.5%(同 8.1%)と増加し、1 割を超えた。店舗数が多く買い物に便利で、生鮮食品の品揃えをより充実させつつあることが要因だと思われる。
「ネットスーパー」、「食材宅配業者」、「ネット通販」も、利便性が高いことから今後子育て世帯や高齢者世帯での利用拡大が見込まれる。
カット野菜を購入している人に、主な購入先を尋ねた。
1~3位の合計で見ると、野菜、果物同様「スーパー」が 93.6%と 9 割を超え、2 位は「コンビニ」(18.5%)で 2 割に迫る。昨今のコンビニはカット野菜の品揃えが豊富になり、購入機会が増えているものと思われる。次いで、「生協」(11.1%)、「青果専門店」(8.0%)が続く。

10.野菜購入時の重視点、「国産品である」が今回調査でも上昇

野菜を購入する際に重視している点を尋ね、年次別に示した。
トップは、「鮮度が良い」66.1%(前回 68.2%)でやや減少したものの概ね 7 割を占めている。次いで、「販売単価が安い」48.6%(同 51.6%)が続く。前回調査で大きな増加が見られた「国産品である」は、42.9%(同 40.7%)と今回も上昇した。
年齢層別では、鮮度、国産、旬など品質へのこだわりは高年齢層ほど強い。「鮮度がよい」は 20 代以下 38.5%に対し、60 代以上では 8 割に迫っている。一方で、「販売単価が安い」や「特売で安い」は、若年層でポイントが高く低価格への志向の強さが伺える。

11.カット野菜の購入理由、「料理の手間を省けるから」が単身男性で7割超

カット野菜を購入する理由を尋ね、属性別および年齢層別に示した。
トータルで見ると、トップは「料理の手間を省けるから」62.5%で、「すぐに食べられるから」52.3%が続き、ともに半数を超えた。次いで、「量が適当だから」36.2%、「いろいろな野菜が食べられるから」24.3%の順となり、「値段がお手頃だから」は概ね 2 割にとどまった。属性別では、「料理の手間を省けるから」は単身男性が 71.6%と他の属性に比べ 10 ポイント程度高い。「すぐに食べられるから」は全属性を通じて半数以上を占めている。「量が適当だから」は単身男性、「いろいろな野菜が食べられるから」は単身女性でポイントが高い。年齢層別に見ると、「料理の手間を省けるから」は若年層で 7 割程度とやや高く、「すぐに食べられるから」は各年齢層ともに 5 割前後となっている。
「量が適当だから」、「いろいろな野菜が食べられるから」は高年齢層ほど高い。一方、「値段がお手頃だから」も高年齢層のポイントが高く、50 代以上では 2 割を超えている。

12.売り場や商品への要望:「産地の紹介」がトップ、女性層は種類や食べ方に関心

野菜売り場や商品に対する要望を尋ね、属性別に示した。
トータルのトップは「産地のことを紹介して欲しい」38.3%で概ね 4 割を占めている。単身女性ではやや低く、3 割に満たない。「農薬の使用状況を紹介して欲しい」32.5%、「収穫日・出荷日を紹介して欲しい」31.5%が続き、それぞれ 3 割を超えた。「野菜の種類(特性)を紹介して欲しい」23.3%、「食べ方を紹介して欲しい」20.8%は、主婦、単身女性の女性層で関心が高い。また、「料理メニューを紹介して欲しい」は主婦で、「販売単位を多様にして欲しい」は単身層で 2 割を超えた。
年齢層別では、「産地のことを紹介して欲しい」は各年齢層ともに 3 割を超え、高年齢層でやや高い。「農薬の使用状況を紹介して欲しい」等の上位項目は同様な傾向が見られる。カット野菜の種類を増やして欲しいという要望は、若年層でやや高かった。


【調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査主体:一般社団法人 JC総研
実施機関:株式会社 インテージ
調査年月日:2014 年 7 月 25 日(金)~7 月 29 日(火)
調査対象:全国の主婦・既婚男性・単身女性・単身男性

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[JC総研]
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