日経BPコンサルティングは、「食の安全・安心企業ブランド調査 2014-2015」の結果をまとめ、2014年12月26日に調査報告書を発行・発売した。調査の対象は「食」に関する国内主要160ブランド。これらブランドに対して、7つの評価指標(※1)に基づき、消費者約1万人に評価してもらい、総合指標となる「食の安全・安心企業ブランド総合スコア」(以下、総合スコア)を算出した(※2)。調査時期は2014年11月5~16日。

【調査結果のポイント】

■総合ランキングで「サントリー」が2年連続首位、2位は僅差で「キユーピー」  

総合スコアのランキングは、前回(2013年8月実施)に引き続き「サントリー」が2年連続の1位となった。サントリーは7つの評価指標すべてで高いスコアを獲得しているが、「主に取り組み姿勢を評価する指標」(※3)では前回、今回とも1位。今回はこのスコアをさらに上げ、総合スコアも72.3から72.8へアップした。

2位には、前回3位だった「キユーピー」が上昇し(総合スコア72.6)、1位「サントリー」との差わずか0.2のところまで迫った。「キユーピー」は元々「利用度」「利用意向度」が高いブランドで、これら指標のスコアは前回1位、今回も引き続き1位だった。これに加えて、今回は「推薦意向度」(※4)が3位から1位へ、「主に取り組み姿勢を評価する指標」も7位から2位へと躍進し、総合スコアを押し上げた。自由意見からは、素材の鮮度や品質の良さを評価する声が多かった。

■食の問題、今年は「食品偽装」が不安度トップ

本調査では個々のブランドの評価とは別に、「食の問題」に対する不安度についても調査している。これは「食品中の残留農薬」「食品添加物」など、食の問題10項目を挙げて、それぞれの不安度を回答してもらうもの。10項目中トップとなったのは、前回3位だった「食品偽装」で、「とても不安に感じる」「やや不安に感じる」を合わせた回答は70.9%に達した。

食品偽装に関する最近の事件では、2014年7月に報道された上海の食肉加工工場での使用期限偽装事件が記憶に新しい。この事件の影響からか、同工場と取引のあった「マクドナルド」は総合スコアを44.9から33.8へと大きく下げた。下げ幅11.1ポイントは、全160ブランド中、最大である。同じく取引のあった「ファミリーマート」も総合スコアを下げたが、下げ幅は3.1ポイントにとどまった(55.0から51.9)。食に関するブランドは、事件に巻き込まれると一気にブランド力を落とす。

一方で、事件後の努力により着実に消費者のイメージを上昇させたブランドもある。雪印乳業(現、雪印メグミルク)である。雪印乳業は2000年に、戦後最大といわれる食中毒事件を引き起こした。弊社が本調査を開始した2004年時点でも「雪印乳業」の総合スコアは41.9とブランド力は低い状態であった。しかしその後、徐々に総合スコアを上げていき、今回は56.5まで上昇して、順位も160ブランド中42位まで上がった(表4)。自由意見では「過去の強い反省を高い品質と安全の維持に生かしている」といった意見が見られた。雪印乳業および雪印メグミルクの「安全・安心」の取り組みが認知・評価されてきたといえる。

※1. 7つの評価指標
「認知度」「利用度」「利用意向度」「推薦意向度」「安心度」「安全度」「イメージ」の7指標

※2.食の安全・安心企業ブランド総合スコア
上記7つの指標の偏差値を合計した結果をさらに偏差値化した数値を「食の安全・安心企業ブランド総合スコア」としている

※3.主に取り組み姿勢を評価する指標
原材料の産地を明示している、環境に配慮している、などの回答から算出。本調査では、「イメージ」と呼んでいる。

※4.推薦意向度
家族や友人、知人に勧めたい、食べさせたいと思う度合い


【調査概要】
・調査目的:国内の主要な食品関連ブランドについて、消費者から見た「食の安全・安心」イメージや実態を知ると同時に、危機管理やマーケティング活動などの参考となるデータを収集する
・調査手法:インターネット調査
・調査対象:日経BPコンサルティング調査モニター、日経BP社が運営するネットメディア登録者、提携調査会社の調査協力者など
・有効回答数:9,830件(性・年代でウエイト補正して集計。ウエイトバック後の有効回答数は、9,949件(男性5,008件、女性4,941件))
・調査対象ブランド:国内の主要な「食」関連の160企業ブランド(製造、外食、中食、宅配、PB、CVS)
・調査実施期間:2014年11月5日(水)~11月16日(日)
・調査企画・実施:日経BPコンサルティング

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