60歳~79歳の男女に聞く「食生活と食意識に関する調査」 

2015年10月14日
日本能率協会総合研究所(JMAR)は、60歳から79歳の高齢者を対象に食生活の実態と意識を明らかにするためにアンケート調査を行いました。本調査は、対象者の生活環境(同居家族)別に、①夫婦のみ、②子供家族と同居、③ひとり暮らし、の3タイプの高齢者に聴取しました。
また、比較対象として、ひとり暮らしの20代男女にも同じ内容のアンケート調査を行いました。

【調査結果】

■トピック1:ひとり暮らしの高齢者の食生活の乱れが深刻化

▽60歳~79歳の高齢者に、普段の食生活は栄養バランスがとれているかどうか聞いたところ、子供家族と同居している高齢者では8割以上が「栄養バランスがとれている」と感じているのに対し、ひとり暮らしの高齢者では「栄養バランスがとれている」のは約半数に留まり、半数は「栄養バランスがとれていない」と自覚していた。これは、家族と同居している高齢者のおよそ3倍の割合。

▽ひとり暮らしの高齢者は、家族と同居している世帯よりも普段の食生活で不足している栄養素が多くみられた。特に家族と同居している高齢者との差が大きいのは「タンパク質」、「食物繊維」、「鉄分」、「カリウム」、「カルシウム」などで、「カリウム」以外は20代ひとり暮らしが不足していると感じているのと共通した栄養素であった。

▽「栄養バランスがとれていない」と感じているひとり暮らし高齢者にその理由を聞くと、8割が「ひとり暮らしだから」と回答しており、食事の栄養バランスの欠如、乱れは“ひとり暮らし”が主な原因であった。

■トピック2:ひとり暮らし高齢者の食の特徴は、「孤食」「メニューの偏り」
  「不規則化」20代ひとり暮らしの若者に近い食の“若者化”の傾向


▽ひとり暮らしの高齢者の多くは、栄養バランス、栄養素が足りないと感じており、栄養バランスの欠如は「ひとり暮らしが原因」と考えていたが、トピック2では高齢者の自宅での食生活の実態をまとめた。

▽配偶者や子供家族と同居している高齢者のほとんどは、夕食を家族と一緒に食べているのに対して、ひとり暮らし高齢者のほとんどがひとりで夕食を食べていた(孤食)。

▽ひとり暮らし高齢者は、同じようなメニューの食事が続くことが「よくある」が35%と家族と同居している高齢者の2倍以上と、20代ひとり暮らしとほぼ同じ傾向であった(メニューの偏り)。

▽1日の食事回数は、家族と同居する高齢者は9割以上が「1日3食」であったが、ひとり暮らしの高齢者では「1日3食」の割合はやや低く、「1日2食以下」が約2割いた。

▽また、食事時間についても、家族と同居する高齢の2-3割は「きちんと決めている」のに対し、ひとり暮らしの高齢者ではその割合は低い(不規則化)。

▽ひとり暮らしの高齢者のほとんどが夕食をひとりで食べており、誰かのために作る、家族と一緒に食べるといった“楽しみながらの食事”が家族と同居している高齢者よりも少ないと考えられる。その結果、食事を作とが面倒に感じ、同じようなメニューが続き、食事の回数が減ることになり、食に対する関心が家族と同居している高齢者と比較すると希薄になっていると考えられる。

■トピック3:ひとり暮らし高齢者の「惣菜・弁当利用」は、20代ひとり暮らしより多い

▽1週間に自宅で手作り料理を食べる合計回数は、家族と同居の高齢者は「週に10回以上」が9割以上を占めるのに対して、ひとり暮らし高齢者は7割と大きな差が見られた。

▽手作り料理の回数と反比例するように、ひとり暮らし高齢者の惣菜や弁当の利用頻度は高く、「週に2回以上」で比較すると家族と同居の高齢者は25%に対してひとり暮らし高齢者ではおよそ半数と2倍で、ひとり暮らしの20代よりも多い割合だった。

▽また、男性ひとり暮らし高齢者の4割が「コンビニ」で弁当や総菜を購入していた。

■トピック4:「宅配サービス」の利用意向者は高齢者の約5割

▽最近市場が拡大している食品や飲料の「宅配サービス」について、今後の健康のための利用意向は、高齢者の約半数。

▽利用したいアイテムは「牛乳・乳製品」が7割程度と最も多く、「野菜・果実」が2番目。
ひとり暮らし高齢者を中心に、不足していると感じている「カルシウム」、「タンパク質」等を補おうと意識していることがうかがえた。


【調査概要】
調査名称:60歳~79歳の男女に聞く「食生活と食意識に関する調査」
調査期間:2015年9月24日(木)~9日29日(火) 6日間
調査対象:
 60-79歳の男女 ①夫婦のみ ②子供家族と同居 ③ひとり暮らし
  20-29歳の男女独身ひとり暮らし
調査方法:FAX調査(60-79歳の男女) インターネット調査(20-29歳の男女)
回答数:
 60-79歳の男女:500人(内訳:①夫婦のみ 200人、②子供家族と同居200人、③ひとり暮らし100人)
 20-29歳の男女:200人(内訳:男性 100人、女性 100人)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本能率協会総合研究所]
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