最新のロボアドバイザーに関するアンケート(世界18の国と地域の消費者対象) 

2017年02月23日
アクセンチュアの最新調査によると、世界の消費者の10人に7人が、銀行・保険サービスや退職後プランについて決断する際、ロボアドバイザー・サービス(人間の代わりにコンピュータがアドバイスを提供するサービス)を積極的に利用すると回答しています。一方、複雑な事柄については従来通り、人に相談したいという消費者も多く、人的サービスとロボアドバイザーの統合を目指す企業にとって、フィジカルな存在と最新のデジタル・ユーザーエクスペリエンス(UX)の最適なバランスでの融合が求められています。

アクセンチュアの調査「Global Distribution & Marketing Consumer research(*)」は、世界18の国と地域、約3万3000人の消費者を対象に、最新のロボアドバイザーに関するアンケートを実施したものです。その結果、特定の銀行・保険サービスについて、圧倒的多数の消費者がロボアドバイザーを利用することに肯定的であることが明らかになりました。現代の消費者の多くは、開設する銀行口座(71%)、加入する保険(74%)、退職後のプラン(68%)について決断を下す際、ロボアドバイザーの利用を肯定的に捉えています。同技術が当初導入された、従来型の投資の分野に至っては、消費者のほぼ5人に4人(78%)がロボアドバイザーを利用すると回答しています。

消費者が求めているのは、温かみのある対面コミュニケーション

一方、3分の2の消費者が金融サービスにおいて、対面での対応を求めており、特にクレーム対応(68%)や住宅ローンなどの複雑な商品に関するアドバイス(61%)でニーズが高くなっています。

消費者がロボアドバイザーの利用を望む主な理由としては、サービス提供の迅速化(39%)ならびに低価格化(31%)、そしてコンピュータ/人工知能(AI)による、人間よりも公平かつ分析的なアドバイスの提供(26%)を期待する回答が挙がっています。

今回の調査では、インドネシア(92%)、タイ(90%)、ブラジル(86%)、チリ(84%)などの新興市場で、ロボアドバイザーに対する関心が特に高いことが明らかになりました。いずれも、スマートフォンなどのデジタルデバイスを金融サービスのやり取りの主要手段として利用することが一般的となっている国です。またカナダ(56%)、ドイツ(59%)、オーストラリア(61%)といった需要の比較的低い国でも、調査対象となった消費者の過半数が、ロボアドバイザーの利用に肯定的と回答しています。

従来の金融サービス事業者“以外”の企業が人気

また本調査では、消費者が従来の金融サービス事業者“以外”の企業から、金融サービスを受けることに肯定的であることも分かりました。3分の1の消費者が銀行サービス(31%)、保険サービス(29%)、ファイナンシャル・アドバイス(38%)の提供元をGoogle、Amazon、Facebookに切り替えるかもしれないと回答しています。ただ、こうした傾向が強いと推測されがちな18~21歳の消費者では、切り替えに肯定的と回答した割合は41%にとどまっており、従来の金融機関に価値を見いだしている若年層も多く存在することが分かりました。また、金融サービス事業者が脅威と捉えるべき対象は、前述したようなテクノロジー大手に限りません。銀行サービス(31%)や保険サービス(30%)の提供元をスーパーマーケットなどの小売業者に切り替えることを検討している消費者も、ほぼ同じ割合で存在しています。

パーソナライゼーションへの関心の高まり

また今回の調査では、3分の2の消費者がそれぞれの状況に合わせて、パーソナライズされた保険アドバイス(64%)と金融アドバイス(63%)に関心があることが分かりました。資産管理のアドバイスに至っては、73%という高い数値を示しています。半数近い消費者(48%)が銀行に対し、「住宅や車といった銀行以外の商品の購入をサポートしてほしい」、もしくは「それらの購入に関連するサービス(保険商品、販売および契約の手続きの支援など)があればいい」と回答しています。銀行には、顧客の位置データ、購入価格帯、その他の個人的嗜好をもとに顧客それぞれに有益な情報をパーソナライズして提供してほしい、それによって各種の重要な決断を支援してほしいと消費者は考えています。

個人情報の貨幣化
消費者は、より低料金で迅速なサービス提供といったメリットと引き換えに、自身のデータを金融サービス事業者と共有することに肯定的であることも分かりました。世界の消費者の67%は、銀行が個人情報にアクセスすることを許可すると回答している一方で、消費者の63%は情報の共有と引き換えに、よりパーソナライズされたアドバイス、ローンのスピード審査・承認といった優遇サービス、より競争力のある料金設定といった金銭的なメリットを求めています。また消費者の過半数(57%)は、保険会社が個人情報にアクセスすることを許可すると回答しており、64%がそれと引き換えによりパーソナライズされたアドバイスを求めています。

消費者を3つのタイプに分類
アクセンチュアは今回、消費者に対して、金融サービス事業者のどのような点を最も重視するか、将来どのような方法でサービスを利用したいか、デジタル・イノベーションをどのように利用しようとしているか、についても調査・分析し、消費者を3つのタイプに分類しました。

遊牧民型(Nomads):積極的にデジタルツールやサービスを活用するグループであり、新しいデリバリーモデルを受け入れる準備ができています。調査対象となった消費者の39%がこのタイプに相当しますが、発展途上国ではその割合が高く、ブラジルではこのタイプが60%以上を占めています。

狩猟民型(Hunters):最も得をする方法を探し求めるグループです。調査対象となった消費者の17%がこのタイプに相当し、年齢層がやや高めの傾向にあります。

品質重視型(Quality Seekers):高品質で迅速なサービスおよびデータ保護を求めるグループであり、消費者の44%がこのタイプに相当します。


調査方法
アクセンチュアは、世界18の国と地域(日本、米国、カナダ、ベネルクス3カ国、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、北欧諸国、スペイン、英国、ブラジル、チリ、オーストラリア、香港、インドネシア、シンガポール、タイ)で銀行、保険、資産管理のサービスを利用している消費者、3万2,715人を対象に調査を実施しました。銀行口座を持ち、保険を契約していることを前提条件として回答者を募り、ファイナンシャル・アドバイス、資産管理、アセット・マネジメントを専門とする独立系企業を利用したことがあるかどうかの質問を行ったところ、合計9,987件の回答が寄せられました。回答者の構成については、複数の世代と所得水準を網羅するよう配慮しました。なお、アクセンチュアは同調査を2016年5月から6月にかけて実施しました。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[アクセンチュア]
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