ニールセン グローバル・リテール・ロイヤリティ調査 

2016年11月15日
ニールセンは、「ニールセン グローバル・リテール・ロイヤリティ調査」の結果を発表しました。

ショッピングにおいて、選択は重要な意味を持つ言葉です。消費者が買い物をする場所が専門小売店か大型小売店か、あるいはコンピュータかモバイルデバイスかに関わらず、嗜好を満足させ、セール品を見つけ、費用を支払うことには、現在はかつてないほど様々な方法があります。これほどまで混み合った空間で自社ブランドを差別化することは、重要であるだけでなく、いまだかつてなく困難になっています。

小売のロイヤリティプログラムは、消費者が他の店に乗り換えることを防ぎ、競争上優位に立つための効果的な方法と言えます。実際に、ニールセンのグローバル・リテール・ロイヤリティ調査では、ロイヤリティプログラム参加者の7割超(72%)が、他の条件が同等であればロイヤリティプログラムの無い小売業者よりもある小売業者で購入するという意見に「非常に賛成する」、または、「ある程度賛成する」と回答しています。ロイヤリティプログラムは、リピーターや客単価を増加させる上でも役立ちます。世界のロイヤリティプログラム参加者のうち、約4分の3(74%)が、ロイヤリティプログラムはロイヤリティプログラムのある企業と取引を続ける気にさせると答えており、3分の2(67%)が、ロイヤリティプログラムのある小売業者のほうが買い物をする頻度や金額は高くなると回答しています。

実店舗を持つ小売業者だけが、ロイヤリティプログラムへの参加で利益を得ているわけではありません。世界の回答者の3分の2(66%)が、従来の実店舗の小売業者と同じロイヤリティ便益が提供されるなら、オンライン小売業者での買い物を増やすと回答しています。そして、オンライン小売業者が高度な分析、モバイル体験やその他のデジタルソリューションをプログラムに組み込むことにより、ロイヤリティプログラムは最先端のテクノロジーを駆使し、益々進化しています。

そして、多くの買い物客はロイヤリティプログラムを大変気に入っているようです。実際に世界の回答者の66%がひとつ以上のプログラムに参加していると答えています。しかし、買い物客が登録しているプログラムの数と、積極的に参加しているプログラムの数には大きな開きがあります。では、勝者はその他大勢とはどこが違うのでしょうか?多くの実証された小売ロイヤリティプログラムの原理は世界中どこでも適用可能ですが、国ごとに特徴的な違いもあります。例えば、モバイルのロイヤリティアプリはとくにインドと中国で人気が高く、その一方で、非金銭的小売ロイヤリティ報酬プログラムはモロッコで重視されています。プログラムのどの特徴が自社の顧客の心に響くかを知ることで、取引を促進することができるようになります。

アジア太平洋地域のロイヤリティプログラムにおけるアプリへの欲求

アジア太平洋地域の比較的発展した市場では、小規模な店舗(コンビニやミニマーケット)が主に小売の成長の原動力となっています。これは、郊外の買い物客が忙しいライフスタイルに適合する便利な選択肢を求めているからです。一方、大規模店舗は売上増加を維持するためのプロモーションに依存するようになっており、長期的に売上の減少につながり得る危険なサイクルを作り出しています。このサイクルを断ち切り、厳しい小売環境における成長を可能にするために、競争力のある優位性を求める小売業者は、顧客の参加と収益増加の機会の原動力となるオファーを提供するための良好な設計を持ったロイヤリティプログラムを活用しています。

小売ロイヤリティプログラムは、1990年代中頃から後半にかけて、東南アジア、太平洋地域及び中国で確実に定着し始め、インドでは2000年代後半に導入され始めました。その長い歴史を考えれば、アジア太平洋地域のオンラインユーザーがロイヤリティプログラムの熱心なメンバーであることは不思議ではありません。インドと東南アジアのオンラインアクセスを持つ消費者の7割超が、ひとつ以上の小売ロイヤリティプログラムに参加していると回答しています(それぞれ74%及び72%)。ベトナム、ニュージーランド、そしてオーストラリアで、ロイヤリティプログラムの参加率は最も高くなっています(それぞれ84%、84%、そして83%)。次に参加率が高いのは、日本(80%)、韓国(77%)、マレーシア(77%)です。中国(61%)での参加率は低くなっていますが、中国の小売業者はいくつかの理由から、以前にも増してロイヤリティプログラムに注力しています。まず、Eコマースが急速に成長しており、オフライン小売業者はシェアを守るために強いプレッシャーを受けています。さらには、経済成長の鈍化は日用品小売業者にダメージを与えています。中国の消費者は商品の品質と全体的な買い物体験に注意を払うようになっているからです。

市場ごとに、ロイヤリティプログラムの参加者がプログラムのメンバーであることを示す方法は異なります。多くの成熟したロイヤリティ市場では、最も一般的な方法はメンバーカードを提示してスキャンしてもらうことです。これらの市場には、ニュージーランド(85%)、オーストラリア(81%)、そして日本(62%)が含まれます。アジアでは、デジタルによる方法がよく使われています。顧客情報と紐づけられた電話番号やEメールアドレスを店舗で検索する方法は、台湾(60%)、ベトナム(60%)、そしてインド(52%)で最も一般的です。小売業者のウェブサイトにログインすることは、中国(51%)とインドネシア(47%)で最も一般的です。いくつかの市場では、モバイルは選択の手段として発達しています。小売業者がモバイルアプリを使うことは、タイ(49%)及び韓国(40%)で最も多い回答で、韓国では店舗でカードをスキャンすることと同率で1位となっています。また、小売業者のモバイルアプリの使用に関しても、中国(47%)とインド(45%)は世界平均を上回っています。同様に、中国とインドでは、プログラム情報を一元管理するサードパーティのアプリ(それぞれ39%及び36%)やモバイル支払いシステム(それぞれ38%及び38%)の利用も世界平均を上回っています。

デジタルのロイヤリティプログラムの性質や特徴は、アジア太平洋地域でとくに魅力的とされています。この地域では、店舗ごとのロイヤリティモバイルアプリは「非常に魅力的」、または、「ある程度魅力的」と回答するロイヤリティプログラム参加者の割合が全世界の中で最も高くなっています(全世界平均の60%に対して69%)。モバイルアプリは、とくにインド(80%)、タイ(78%)、中国(74%)で魅力的と思われています。デジタル支払いシステムとの統合(78%)や、ロイヤリティプログラム情報を一元管理するサードパーティのアプリとの統合(63%)の人気も、アジア太平洋地域の方が世界平均より高くなっており(それぞれ67%及び51%)、とくにインド、中国、タイで熱狂的に支持されています。

実際にロイヤリティプログラムのモバイル機能には非常に強い要望があり、アジア太平洋地域のロイヤリティプログラムメンバーの3分の2超(69%)が、モバイルアプリがあればロイヤリティプログラムに参加する可能性が「非常に高くなる」、もしくは、「ある程度高くなる」と回答しています。一方で、世界平均では56%となっています。

注目すべき世界のハイライト

・ロイヤリティプログラムは、上手に利用すればリピーターや客単価の増加につながります。世界の回答者の7割超(72%)が、他の条件が同等であれば、ロイヤリティプログラムが無い店よりもある店で購入すると回答しました。

・世界のロイヤリティプログラム参加者の過半数(51%)が、商品のディスカウントは3つの最も重要視しているロイヤリティプログラムの利点のひとつだと回答しています。次に重要なのは、リベートすなわちキャッシュバックによる金銭的報酬(45%)です。一方で、一般的な割引は大きな差を生み出していません。小売業者は、顧客のニーズを理解し、より良い価値を提供することに集中するべきでしょう。

・金銭的報酬はどの地域でも重要視されていますが、一部のアフリカ/中東諸国においては非金銭的報酬が世界平均よりも高く評価されています。例えば、モロッコ、エジプト、パキスタンにおける上級顧客としての認定や、エジプトとモロッコにおける慈善寄付などです。

・消費者は柔軟なロイヤリティプログラムを強く望んでいます。世界のロイヤリティプログラム参加者の約8割が、購入場所が実店舗か、ウェブサイトまたはモバイルサービス経由であるかに関わらず、報酬を獲得することができること(81%)、そして何種類かの報酬から選択することができること(79%)は、「非常に魅力的」、または、「ある程度魅力的」と回答しています。

・デジタルツールやデジタル機能は、とくにアジア太平洋地域で魅力的と考えられています。アジア太平洋地域では、店舗ごとのロイヤリティモバイルアプリ(69%)、デジタル支払いシステムとの統合(78%)、ロイヤリティプログラム情報を一元管理するサードパーティのアプリとの統合(63%)を魅力的だと評価するロイヤリティプログラム参加者の割合が、全世界中で最も高くなっています。

・アジア太平洋地域では、最も重視されている便益としては、商品のディスカウント(51%)とリベートつまりキャッシュバック(45%)が、ほぼ全ての国で最も人気があります。唯一の例外は日本とインドネシアで、送料無料(それぞれ51%及び45%)が商品のディスカウント(それぞれ59%及び64%)と僅差の2位に入っています。また、韓国では、ディスカウントとリピーターポイントが同等に重視されています(それぞれ60%)。


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