給与に関する調査(中小企業の従業員対象) 

2018年10月23日

あしたのチームは、中小企業の従業員を対象に給与に関するインターネット調査を実施いたしました。その結果、従業員は給与決定や評価基準が明確でないことに不満を持っており、評価基準が明確で、労働時間ではなく成果が評価される人事評価制度が求められていることが明らかになりました。

調査トピックス


≪給与体系の実態≫
  • 7割以上の方が、賞与やインセンティブによって年収額が変動する、不安定な給与体系である
    給与体系として最も回答が多かったのは「月給制+賞与」63.8%。給与額が固定される「月給制(賞与・インセンティブなし)」は24.5%、「年俸制」は4.0%で、70.6%が賞与やインセンティブによって年収が変動する給与体系であることがわかった。
≪給与に対する満足度≫
  • 給与体系に「納得していない」が6割以上。3人に2人は月給額に満足していない。
    自身の給与体系に「納得していない」と回答した方が61.8%。月給額に「満足している」の割合は3割強となり、3人に2人は月給額に満足していないという結果に。
  • 「金額が上がることがない」「金額が少ない」のほか、「パフォーマンスに見合っていない」「適正な評価金額でない」と、成果と月給額のギャップに対する不満が多い。「金額の決定方法が明確でない」も不満の理由に。
    金額の少なさや、昇給の可能性がないことのほか、頑張りや成果と給与が連動していないことが不満につながっている。また金額の決定方法が明確に提示されていないことも従業員の不満のもとに。
≪給与額の決定と人事評価≫
  • 給与額の決定に影響する項目1位「社長の主観的判断」
    給与額の決定に影響する項目として、最も回答が多かったのは「社長の主観的判断」36.3%となった。また自分の給与がどのように決められているか知らない人も約3割いることも明らかとなった。
  • “正当な評価”とは? 1位「評価基準が明確」49.3%、2位「労働時間ではなく成果が評価される」34.0%
    従業員が思う“正当な評価”とは、「評価基準が明確」な人事評価制度であることがわかった。また、働き方改革を背景に、成果への対価が支払われる「Pay for Performance」の考えに基づく人事評価制度が望まれているようだ。

調査結果


1.給与体系の実態

① 給与体系について
あなたの給与体系に最も近いものをお選びください。(単一回答)n=400
給与体系として最も回答が多かったのは「月給制+賞与」63.8%でした。「月給制(賞与・インセンティブなし)」は24.5%、「年俸制」は4.0%で、月給と賞与やインセンティブによる給与体系の方が、合わせて70.6%となりました。7割以上の方が、賞与やインセンティブの有無および金額によって年収額が変動する、不安定な給与体系であることがわかりました。

② 給与に含まれる「手当」の数について
あなたの月給のうち、基本給を除いた手当の数は何個ありますか。
「残業手当」「通勤手当」「役職手当」など、基本給以外の手当のすべての個数をお答えください。(単一回答)n=400

月給のうち、「残業手当」「通勤手当」「役職手当」など、基本給以外の“各種手当”として支払われる項目の数をお聞きしました。その結果、3個以上の手当が含まれる方が、半数以上の51.5%であることがわかりました。「なし」と回答した方は1割強の14.3%となりました。個人の成績や取り組みへの評価によって「基本給」の査定がなされ給与額が決定するのが人事評価の本来のあり方ですが、さまざまな“手当”によって給与額が多く見えていることもあるかもしれません。

2.給与に対する満足度

①給与体系への納得感について
あなたはご自身の給与体系に納得していますか。(単一回答) n=400
給与体系に納得しているかをお聞きすると、「納得していない」と回答した方が61.8%と、6割を超える結果となりました。賞与やインセンティブなど業績によって年収が変動する給与体系の方が多いことから、収入が不安定であることに納得していない方も多いと考えられます。

② 月給額(固定支給額)への満足度について
あなたはご自身の月給にどの程度満足していますか。賞与やインセンティブは除き、月々に固定で支給される金額についてお答えください。(単一回答)n=400

月給額に対する満足度を聞くと、「満足している」6.5%、「まあ満足している」27.0%をあわせて「満足している」と回答した方は3割強となりました。およそ3人に2人は、月給額に対して不満を持っていることが明らかになりました。

③ 月給額(固定支給額)への不満の理由
ご自身の月給に満足していない方にお聞きします。なぜ月給に満足していないのかお答えください。(複数回答)n=266

月給額に満足していない理由は、回答の多い順に「金額が上がることが(ほとんど)ないから」44.0%、「金額が少ないから」39.1%となりました。月給額の少なさや昇給の可能性が見えないことに不満を持っている方が多いことがわかりました。次いで「自分のパフォーマンスに見合っていないから」31.6%、「適正な評価金額でないと感じるから」29.3%となっており、自身の成果と月給額とのギャップを理由に不満を感じている方も多くいるようです。頑張りや成果と人事評価が連動していなければ従業員のモチベーションは上がらないでしょう。また、25.9%が「金額の決定方法が明確でないから」と回答しており、金額の決定方法が明確に提示されていないことも従業員の不満につながりやすいことがわかります。

3.給与額の決定と人事評価

①給与額の決定に影響する要因について
あなたの給与額(賞与やインセンティブは含まない)の決定に際して、影響を受ける項目としてあてはまるものをすべてお答えください。(複数回答)n=400

給与額の決定に影響する項目として、最も回答が多かったのは「社長の主観的判断」36.3%となりました。前問では、金額の決定方法が明確でないため、月給額に不満を持っている方が25.9%いることがわかりました。社長の主観的判断によって決められているのでは、給与が上がる基準が見えず、不満につながるでしょう。次いで、「会社の業績」30.3%、「上司の主観的判断」28.3%と、自身の努力や成果と直接連動しない項目が上位に続きます。「自身の目標に対する達成度・行動に対する評価」は22.0%とわずか2割となりました。また「わからない・知らない」が29.8%と、自分の給与額がどのように決められているかわからないという方が約3割いることも明らかとなりました。

② 「正当な人事評価」とは
あなたが「正当な評価」だと思うものをすべてお答えください。(複数回答)n=400
人事評価に対して従業員が「正当な評価」だと思うものをお聞きしました。最も多い回答は「評価基準が明確」49.3%で、半数近くの方が回答しました。これまでの設問で、「金額の決定方法が明確でない」ことが月給額への不満につながりやすく、また「社長の主観的判断」によって給与額が決められていると感じている従業員が多いことがわかりました。従業員が納得して前向きに働けるようにするには、評価基準と、評価がどのように給与に反映されるのかが明確な人事評価が求められていると考えられます。次いで「労働時間ではなく成果が評価される」34.0%となりました。
前回実施した<残業削減に関する調査>では、残業削減に取り組んでいる企業の従業員の約3割が、これまで支払われていた残業手当がなくなり、収入が減っていることが明らかになりました。働いた時間に対してではなく、成果への対価が支払われる人事評価の考え方を「Pay for Performance」といいますが、従業員は残業削減・生産性向上が求められる中、現在の働き方の実態に合った人事評価と給与体系を望んでいるのではないでしょうか。働き方の変化にともなって、人事評価も新たなものさしが求められていると言えるでしょう。

調査概要


インターネット調査
従業員数10名以上300名未満の会社に勤める従業員、男女20歳~59歳を対象に実施
有効回答数:400人
調査実施日:2018年6月18日(月)~2018年6月19日(火)

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[あしたのチーム]
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