矢野経済研究所は、国内のアフィリエイト市場を調査し、市場概況、アフィリエイトサービス事業者の動向を明らかにした。

<アフィリエイトとは>
アフィリエイトとは、Web サイトやメールマガジンなどにある企業サイトへの広告(リンク)を張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該企業のサイトで会員登録したり商品を購入すると、Webサイトやメールマガジンのオーナーに成果(コンバージョン)が発生した時に、一定額の報酬が支払われるという広告手法を指す。
本調査におけるアフィリエイトとは、①各種広告主とサイトオーナーを仲介し、広告主から広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うASP(代理店)型、②仮想ショッピングモール出店事業者から取扱い商品の販促目的で広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うモール型、③自社のショッピングサイトにある商品・コンテンツの販促目的で自社が広告主となり、サイトオーナーに報酬を支払う独自型、④アフィリエイトに必要なトラッキングシステムや分析ツールを提供し、報酬を得るプラットフォーム型を対象とした。

<アフィリエイト市場とは>
本調査におけるアフィリエイト市場は、アフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し、算出した。

1.市場概況

2017年度の国内アフィリエイト市場規模は、前年度比112.9%の2,615億円まで拡大した。主要なアフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)においては、大きく業績を伸ばす事業者も出てくるなど、市場は堅調に拡大している。市場拡大の要因としては、広告主におけるアフィリエイトへの投下予算の拡大や、スマートフォン経由でのアクセス増による売上拡大、EC市場の伸長等が挙げられる。

広告主におけるアフィリエイト広告への投下予算に関しては、広告に対する費用対効果をより重視する広告主が増加しており、他の広告予算からアフィリエイト広告へシフトするケースが増えている。
スマートフォン経由でのアクセスに関しては、近年、スマートフォンの普及を背景に、消費者のインターネットの利用方法が多様化しており、インターネットへの接触機会や頻度が増えている。これに伴い閲覧するメディアに関しても、SNSに加え、記事等のキュレーションメディアなど多様化が進んでいる。また、検索方法に関しても、以前は検索エンジンでの検索が主流であったが、若年層を中心にSNSやECサイトでのサイト内検索が徐々に増加しており、さまざまな検索結果が閲覧されている。このような状況からアフィリエイト広告が浸透して来ていると考える。
EC市場の伸長については、高齢のECサイト利用者も増加しており、幅広い年齢層でネットショッピングの利用が定着してきている。また、ネットショッピングの利用機会が増えたことで、大手ECモール以外の個店ECサイトにおいても、口コミ情報などを参考にして購入するケースが増加している。EC市場の伸長により、アフィリエイト広告も拡大を続けている。

2.注目トピック

Googleコアアルゴリズムアップデートへの対応
2017年末にGoogleコアアルゴリズムアップデートが実施された。これは、主に医療や健康食品分野サイトにおいて、検索ユーザーに有益な情報が上位表示されやすくなる内容で、日本を中心に実施された。2018年8月頃にも、サイトの信頼性や品質を評価するアップデートが行われている。

こうしたアップデートは、リンクで広告主サイトに遷移するメディアに適用されており、主としてアフィリエイトサイトに適用されるケースが多い傾向にある。これにより、健康食品分野を中心として、Google検索順位が下がるアフィリエイトサイトが増加した。そのため、健康食品を取り扱う広告主の割合が高いアフィリエイトサービス事業者(ASP)においては、収益に影響が出ることが懸念されている。また、現状ではアップデートへの対応はサイトオーナーに委ねられており、ASPとしてはサイトオーナーからの提案要求があれば、アドバイスや事例を紹介するという取組みに留まっている。

3.将来展望

既存の広告主は、費用対効果の高いアフィリエイト広告サービスを継続的に利用していくと考える。一方、新たな事業を開始する際には高額な販促費用を必要としない、リスクの低いアフィリエイト広告が選択されるケースが多く、新規の広告主の利用拡大の余地は大きいとみる。また、アフィリエイト以外の広告も同時に出稿している広告主においては、定期的に費用対効果の見直しを実施しており、アフィリエイト広告への評価の上昇傾向は今後も継続すると考える。

また、大手ECモールにおいては、モール出店事業者が自社で顧客情報を保有できないため、CRM施策の実施が困難である。今後、事業拡大のために自社ECサイトを構築し、注力する流れが加速すると考えられ、自社ECサイトでのアフィリエイト広告の採用が増える。このような自社ECサイト運営事業者においては、アフィリエイトサービスプラットフォームの利用も進む見通しである。このような状況により、また、旅行や飲食分野のEC化が進むことによるEC市場の拡大を見込み、2022年度の国内アフィリエイト市場規模は5,368億円に達すると予測する。

調査概要


■調査期間: 2018年9月~12月
■調査対象: アフィリエイトサービス事業者(ASP)
■調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、および一部アンケート調査を併用

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[矢野経済研究所]
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