グローバル・ブランド原産国調査(61ヵ国調査) 

2016年04月29日
ニールセンが発表した『グローバル・ブランド原産国調査』によると、世界の回答者の平均約75%が、ブランドの原産国は、その他の9つの購入動機と同等、またはそれ以上に重要だと答えました。その9つの購入動機には、選択・選別、価格、機能と品質が含まれます。今回の調査は、61ヵ国30,000人以上のオンライン回答者からの40カテゴリーにわたる回答をもとに、グローバル・多国籍ブランド(多くの市場で展開するブランドと定義される)が製造する商品と、ローカル・ブランド(単一の市場、つまり回答者の居住国で展開するブランドと定義される)が製造する商品のどちらを消費者が好むか、を調査したものです。

アジア太平洋とアフリカ・中東地域の回答者は、他の選択要因よりも原産国が重要だと答える割合が比較的高くなっています(それぞれ平均33%、32%)。これに対して、ヨーロッパ、北米、そして中南米地域の回答者は、他の選択要因よりも原産国は重要でないと答える割合が比較的高くなっています(それぞれ平均35%、32%、31%)。

購入の背景にある動機

なぜ世界の消費者は、グローバル・ブランドではなくローカル・ブランドを選ぶのでしょうか?あるいは、なぜその逆なのでしょうか?グローバル・ブランドやローカル・ブランドを選ぶうえで最も重要な3つの決定要因について、回答者はすべての地域で似通った回答をしています ― そこでは、典型的な消費者調査で上位を占める要因が目立っています。世界的に、より良い価格や価値が、グローバル・ブランド(42%)やローカル・ブランド(43%)を選ぶ第一の要因となっています。ブランドについての好ましい経験(グローバルが32%、ローカルが28%)、より安全な原料と加工(それぞれ31%、28%)、より高い製品便益(31%、25%)、そしてブランドの販売またはプロモーション(26%、24%)なども、製品を選択する際に上位に数えられる理由に挙げられています。

国のイメージは、ローカル・ブランドとグローバル・ブランド間で違いのある特筆すべき唯一の選択要因です。これは、知名度の高いグローバル製品(「アメリカ産」のマルボロ、「日本産」のトヨタなど)でないかぎり、国のイメージを理由にグローバル製品を購入する人はいないことを考えれば、驚くべきことではありません。必然的に、このことはグローバル製品ではなく地域の製品を選ぶ、より重要な理由ともなります。世界の回答者の5分の1(21%)が、地域の製品を買ううえで国のイメージが最も重要だと答えています。この意見はアフリカ・中東地域(25%)で最も高く、続いてアジア太平洋(24%)、中南米(21%)、そしてヨーロッパ(16%)や北米(10%)では比較的低くなっています。

食品と飲料では、地域の製品が有利

当然ながら、生鮮食品では、明らかにローカルの製品のほうが好まれています。このカテゴリーで買い物をした世界の回答者の多くは、グローバル・ブランドよりも地域のブランドを選ぶと答えており、ローカル製品のグローバル製品に対する割合は、野菜で68%対11%、精肉で66%対13%、果物で64%対12%、魚介類で57%対18%、ヨーグルトで52%対22%となっています。すべての地域におけるほぼすべての生鮮食品カテゴリーで、ローカル・ブランドが優勢となっています。地域のブランドは、腐敗が心配されたり、地域により好みが異なる飲料のカテゴリーでも好まれています。すべての地域の回答者は、果汁飲料、水、牛乳について、ローカル製品を好むと答えています。炭酸飲料を購入した回答者のうち、ヨーロッパ以外のすべての地域でグローバルな製品がより好まれています。ヨーロッパは、ブランド原産国は重要でないと答える回答者の割合が最も高い地域です。

包装食品や菓子では、地域の味の好みが最も重要です。地域のブランドがグローバル・ブランドより好まれる商品は、アイスクリーム(44%対27%)、クッキー・ビスケット(40%対28%)、スナック菓子・クラッカー(40%対28%)、朝食用シリアル(44%対29%)、インスタント麺(47%対24%)、そして野菜の缶詰(53%対20%)などです。

ベビー用品では、グローバルなブランドは品質が高いとみなされる

ベビー用品のカテゴリーでは、アジア太平洋地域以外のすべての地域で、おむつに関してはグローバル・ブランドがより明確に好まれています。アジア太平洋地域では、ローカル・ブランドとグローバル・ブランドに対する好みは同等となっています。しかし、食品と粉ミルクに関する好みは、先進市場と新興市場の境界線で大きく異なっています。アジア太平洋地域と中南米では、グローバルな食品と粉ミルクのブランドはより好まれています。一方、ヨーロッパや北米ではローカル・ブランドがより好まれています。当然ながら、グローバル・ブランドのベビーフードや粉ミルクを最も好むのは、中国や香港の回答者です。これらの地域では、地域のベビーフードや粉ミルクの品質問題が話題になっているからです。アフリカ・中東地域では、グローバル・ブランドは粉ミルクにおいてわずかに優位となっていますが、ベビーフードについてはローカル・ブランドがより好まれています。

パーソナルケア製品と美容製品では、グローバル製品が大人気

パーソナルケア製品と美容製品については、グローバル・ブランドが世界中で明確に好まれています。すべての地域で、かみそり、シャンプーとコンディショナー、化粧品とデオドラント製品は地域のブランドよりもグローバル・ブランドが好まれています。また、5つの地域のうち4つで(アジア太平洋地域を除く)、歯磨き粉、ハンドソープ、ボディソープ、ハンドローション、およびボディローションでは、グローバル・ブランドがより好まれています。ヨーロッパでは、ブランド原産国がかみそり、歯磨き粉、ハンドソープ・ボディソープやハンドローション・ボディローションにおいて重要でないと答える回答者の割合が最も高くなっています。


ニールセン グローバル調査について
「グローバル・ブランド原産国調査」は、アジア太平洋、ヨーロッパ、中南米、中東・アフリカ、および北米の各地域の61ヵ国のオンライン消費者30,000人以上を対象に、2015年8月10日から9月4日にかけて実施されました。サンプルは、この調査への参加に同意したインターネットユーザーを含み、各国に年齢と性別による定員を設けています。また、各国のインターネット消費者を代表するよう重みづけされています。サンプルは参加に同意した人のみに基づくため、理論的サンプリング誤差の推定は算出できません。しかしながら、同規模の確率標本の場合、世界レベルでの誤差の範囲は±0.9%です。今回のニールセンの調査はオンラインアクセスを持つ回答者の行動にのみ基づいています。インターネット普及率は各国により異なります。ニールセンでは調査に含めるデータの基準を、インターネット普及率60%以上、またはインターネットユーザー1,000万人以上と定めています。

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[ニールセン]
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