新興国インターネット小売市場の将来性ランキング2012 

2012年09月19日
経営コンサルティング会社のA.T. カーニーは、「新興国インターネット小売市場の将来性ランキング2012」を発表。

この調査は、先に発表した「新興国小売市場参入魅力度(GRDI)2012」の上位30カ国について、インターネット小売(以下、ネット小売)市場の潜在力を分析し、上位10カ国を順位付けしたもの。
この結果から、アクティブなネットユーザー基盤と強固なインフラを有する巨大な新興市場は、ネット市場としての潜在力が非常に高いことが分かる。ネット小売チャネルを既存の店舗ネットワークに加えたり、新市場参入の手段にしたりすることで、新興国市場での成長見通しが魅力的なものになる。ネットチャネルで先行して新興国市場に参入すれば、小売企業は、新店舗開発に投資することなくブランドを確立し、現地の消費者像を深く知ることができる。

なお、本調査では、ネットインフラ、法規制、小売に特化した項目など18の変数を評価し、数値化している。小売企業がネット販売のグローバル戦略策定や新興市場への投資機会を見定める際、本結果を活用して頂くことを目的としている。

【新興国インターネット小売市場の将来性ランキング】

1 中国
2 ブラジル
3 ロシア
4 チリ
5 メキシコ
6 UAE
7 マレーシア
8 ウルグアイ
9 トルコ
10 オマーン

■ 上位3カ国の分析

1位 中国:最新の中国のネット小売市場規模は230億ドルで、米国に次いで2位。今後も、インフラや消費者のネット購買行動が進化するにつれ、今後5年間に年率29%で成長すると考えられている。中国のネット販売では様々な商品群が人気だが、中でも、家電と衣料品が最大カテゴリーである。
ただし課題もある。中国はインフラ面が弱いために、ネット小売市場のポテンシャルを最大限発揮できない状態にある。配送インフラは、大都市拠点以外の場所では状況にバラツキがあり、効率が悪く、ネット小売で販売した商品配送の「ラスト・ワンマイル」問題が発生してしまっている。

2位 ブラジル:アクティブネットユーザーが多く、ネット小売の売上は106億ドルに達しており、これは南米最大の規模である。ほとんどの小売カテゴリーでネット販売が主流になるに従い、ブラジルのネット小売市場は、今後5年間で年率12%の拡大を見せると予想されている。ブラジルでネット販売されている商品の中で、最も一般的なのは家電だ。ただし、衣料品のオンライン売上は限定的だ。これは、ブラジルの消費者はファッションにこだわりが強く、リアル店舗での購買経験を大切にするためである。

3位 ロシア:ロシアのネットユーザーは欧州最大で6,000万人に上り、ネットショッピング消費者も1,500万人いる。1人当たり1.8台の携帯端末を持ち、日常的にモバイルを活用している。こうした市場構造により、ネット小売市場規模は91億ドルに達する。同市場は今後5年の間に年率12%で成長すると予測される。

■ ネット小売で新興市場に参入する上での4つの成功要因:

1.現地化:Webサイト、支払い方法、配送方法、ビジネスモデルを現地市場に合わせて整備する

2.顧客経験価値を管理する:小売企業は購買から返品まで顧客経験価値を管理する必要がある。物流インフラに課題がある市場では発送・配送のスケジュールを消費者に分かりやすく伝えることが重要

3.現地企業を過小評価しない:現地企業は新興市場のネット小売を独占している。これら企業は、ネット消費者の嗜好、ネット販売の課題についての見識を持ち、ベスト・プラクティスを蓄積している

4.長期的視野を持つ:市場の舵を取り、ネット消費者について学び、信頼感のあるブランドを確立するためには、時間を要することを念頭に置く

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[A.T. カーニー]
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