平成28年上半期食品産業動向調査:景況 

2016年09月26日
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業が、平成 28 年 7 月に実施した「平成28 年上半期食品産業動向調査(※)」で、売上高DI、経常利益DI、資金繰りDIから算出した景況DI(算出方法は次頁(注)を参照)は、前回(27 年下半期)の調査で平成 9 年の調査開始から 18 年間で最高のプラス値 11.0 を記録しましたが、今回の調査では、売上高DI、経常利益DIが低下したことが影響し、5.1 ポイント低下の 5.9 となりました。
また先行き 28 年下半期は更に 1.7 ポイント低下の 4.2 となる見通しで、景況DIはプラス値を維持しているものの足踏み状態が続く見通しです。

調査結果のポイントは以下のとおりです。
(※)本調査は全国の食品関係企業を対象に、平成9 年から年2 回実施しているものです。

<調査結果のポイント>

○ 売上高DI、経常利益DIが低下、資金繰りDIは上昇 (資料:図1)
景況DIは、前回調査から5.1 ポイント低下し5.9 で、プラス値ながら悪化となりました。
前回調査から、売上高DIが 12.8 ポイント低下し 9.6 に、経常利益DIが 4.7 ポイント低下し6.1 になったことが影響しています。なお、資金繰りDIは2.3 ポイント上昇し2.1 とプラス値に転じています。
先行きの 28 年下半期については、28 年上半期に比べ売上高DIが上昇、経常利益と資金繰りのDIが低下し、景況DIは1.7 ポイント低下するものの4.2 とプラス値を維持する見通しとなっています。

○ 地域別では 10 地域すべてがプラス値を維持 (資料:図2)
地域別の景況DIは、南関東、東海、中国以外の 7 地域で低下したものの、10 地域すべてが0.2~13.3 幅でプラス値を維持する結果となりました。
先行き 28 年下半期については、28 年上半期に比べ北海道、東北、四国、九州以外の6地域で低下するものの、10 地域すべてが 1.0~7.8 幅でプラス値を維持する見通しとなっています。

○ 業種別では飲食業がマイナス値に (資料:図3)
業種別の景況DIは、前回調査から製造業が 3.3 ポイント低下し 6.9、卸売業が 5.0 ポイント低下し 2.9、小売業が 13.0 ポイント低下し 9.9、飲食業が 21.8 ポイント低下し▲2.4と飲食業以外の業種でプラス値を維持する結果となりました。

先行き 28 年下半期については、28 年上半期に比べ製造業で 1.0 ポイント低下し 5.9、卸売業で 3.6 ポイント低下し▲0.7、小売業で 5.6 ポイント低下し 4.3、飲食業が 12.2 ポイント上昇し9.8 となる見通しです。

○ 販売数量DI、販売価格DI、仕入価格DIは引き続きプラス値維持 (資料:図4、図5)
販売数量DIは、6.6 ポイント低下し 3.6 に、販売価格DIも 14.2 ポイント低下し 12.1となりプラス値を維持しているものの、景況感の足踏みを反映した結果となりました。
先行き 28 年下半期では、28 年上半期に比べ販売数量DIが 5.3 ポイント上昇し 8.9、販売価格DIが7.3 ポイント低下して4.8 と、ともにプラス値を維持する見通しとなっています。
仕入価格DIは、前回調査より21.4 ポイント低下ながら32.7 と高いプラス値を維持しており、依然として原材料などの仕入価格の上昇が続いています。
先行き 28 年下半期では、28 年上半期に比べ 11.0 ポイント低下するものの 21.7 と仕入価格の上昇が続く見通しとなっています。

○ 雇用判断DIは不足感が高水準、設備投資DIは積極姿勢 (資料:図6、図7)
雇用判断DIは、5.4 ポイント低下して27.6 となり雇用の不足感が一段落とみえるものの、先行き28 年下半期では、28 年上半期に比べ4.3 ポイント上昇し31.9 と雇用の不足感が高まる見通しとなっています。
設備投資DI(平成28 年上半期時点での平成28 年通年の設備投資額の見通し)は、前回調査に比べ2.5 ポイント上昇し10.9 とプラス値を維持しており、設備投資の積極姿勢が続いている結果となりました。


【調査概要】
調査時点:平成28 年7 月1 日
調査方法:郵送により調査票を配布し郵送により回収
調査対象:全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業) 7,042 社
 ※なお、今回の調査では熊本地震の被害を大きく受けられた熊本県内の食品関係企業を調査対象から除いています。
有効回収数:全体で2,705 社 (回収率38.4%)
《内訳》 製造業:1,731 社、卸売業:665 社、小売業:237 社、飲食業:72 社

(注)DI(Diffusion Index = 動向指数)について
DIは、前年同期と比較して、「増加する(良くなる)」と回答した企業の割合から「減少する(悪くなる)」と回答した企業の割合を差し引いた数値。
景況DIは、売上高DI、経常利益DI、資金繰りDIの合計を単純平均して算出。

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