現金のコスト意識とキャッシュレスに関する調査(中小規模事業者および消費者対象) 

2018年11月18日

Square(スクエア)は、全国の中小規模事業者および20歳以上の男女を対象に「現金のコスト意識とキャッシュレスに関する調査」を実施しました。この調査から、中小規模事業者が現金管理に年間147時間を費やす現状が分かり、キャッシュレスの浸透が、生産性の向上と人手不足解消にも貢献し得ることが明らかになりました。

調査サマリー


日本の中小規模事業者が負担する現金管理コスト、人件費にして約8,861億円

日本の中小規模事業者が現金集計や銀行への入金に割く時間は、年間約147時間に及ぶことが分かりました。これは、人件費に換算すると日本全体で約8,861億円に上ります(※1)。事業者は完全キャッシュレスに移行することで、月間で12時間以上の余裕ができるため、人手不足解消への効果や、経営にインパクトのある業務に時間を回し生産性向上に繋がる効果が期待できると推察されます。

経営者、キャッシュレス消費に鈍い反応。現場に比べ甘い需要認識

日本の中小規模事業者にお客様が好む支払い方法を質問したところ、お客様に日頃接している従業員の方が、経営者に比べ、現金以外のニーズを感じ取っていることが分かりました。特に、クレジットカードの需要について最も認識のギャップが大きく、従業員の54.8%がクレジットカードを「お客さまが好む支払い方法」と回答したのに対し、同様の回答をした経営者は39.1%に止まり、15.7ポイントも認識にギャップがありました。

消費者の約23%が「カード払いできず購入を諦めた」経験がある

消費者を対象としたアンケートでは、全体の22.9%がクレジットカードが利用できなかったために購入を諦めた経験があると回答し、クレジットカード決済に対応していないと機会損失につながる可能性が極めて高いことが分かりました。

調査結果


中小規模事業者調査

● 中小規模事業者の間で最も広く受け入れられている決済方法は、「現金」(95.3%)で、次の「クレジットカード」(49.8%)は約 5 割にとどまっている。

・現金 95.3%
・クレジットカード 49.8%
・電子マネー 18.8%
・商品券 17.4%
・プリペイドカード 5.9%
・ポイントカード 12.8%
・掛け売り(請求書払い) 22.6%
・その他 0.5%
・わからない 1.4%

● 年間約 147 時間を現金集計や銀行への入金に使っており、そのコストは約 8,861 億円。
1 週間に 2.8 時間、年間 146.8 時間(1 年=52.143 週)
 ・現金集計にかかる時間:週に 1.75 時間
 ・銀行への入金にかかる時間:週に 1.06 時間

● 現金を引き出すために支払っている時間外手数料の平均金額は、年間平均 29,151 円。中小規模事業者の24.2%が時間外手数料のかかる ATM を利用していることから、中小規模事業者にかかるコストは年間268 億円となる。
現金を引き出すために銀行の時間外手数料を払うことがあると回答した人は全体の 24.2%おり、平均して週に3.5回利用していた。銀行の時間外手数料は、1回につき108円~216円であることから、年間平均 29,151円支払っている計算となる。

● 盗難や身の危険を感じると回答した人(約 23.7%)vs. 身の危険を感じないと回答した人(約 54.6%)と、「身の危険を感じない」と回答した人の方が多いが、「金庫を設置している」(40.7%)や「警備会社を利用している」(26.4%)など、何らかの防犯対策をとっている人が 5 割以上。

● お客様に日頃接している従業員の方が、経営者に比べ、現金以外のニーズを感じ取っていることが判明。
特に、クレジットカードの需要については、従業員と経営者に 15.7 ポイントも認識のギャップがあった。

● 中小規模事業者の 3.3% が、1 年以内に現金を取り扱わなくなる可能性があると回答。
全体の 3.3% は 1 年以内に現金を取り扱わなくなると回答しており、これは日本の中小規模事業者数で換算すると 125,697 社にあたる。また、全体の 38.2% は、いつかは現金を取り扱わなくなると回答している。なお、オーストラリアでは約 10%が 1 年以内に現金を取り扱わなくなると回答している。
ただし、日本でもわずかに世代間ギャップがでており、20 代の約 8.2% が 1 年以内に自分が関わる職場やビジネスで現金の取り扱いがなくなると思っている。また、20 代の半数以上(56.4%)が、いつかは現金を取り扱わなくなると回答しているのに対し、40 代以上の約半数は「永遠に現金の取り扱いがなくなることはない」と回答している。

● 2020 年のインバウンド需要増に向けた対策で優先順位が高いのは、「Wi-Fi 対応」(65.6%)と「防犯対策」(60.4%)だが、キャッシュレスについても 42.6% は対策の必要性を感じている。
「Wi-Fi 対応」については、34.8%が既に対策をとっていると回答している一方、「キャッシュレス」については、計 48.8%が必要性を感じているものの、既に対策をとっていると回答した人は6.2%、「多言語対応」についても、計 48.4%が必要性を感じているが、9.0%しか現時点で対策をとっていない。

消費者調査

● 買い物をする時の支払い方法では、日本の消費者は現金派とカード派がほぼ半々。
オーストラリアでは、消費者の 30% が「常にクレジットカードやデビッドカードなどで支払う」と回答しているのに対し、日本では 13.3%。また、オーストラリアでは、たったの 4% が「常に現金で支払っている」と回答しているのに対し、日本では 12.0%。中でも、特に 20 代と 60 代以上で現金の利用が多い。

● 支払い方法で最も多いのは現金(68.9 %)だが、クレジットカード払いを望む人も約 6割(59.4%)いるほか、電子マネー払い(36.2%)やポイントカード払い(20.1%)など、現金以外での支払い方法が望まれている。

● 日本の消費者全体の 22.9%が、クレジットカードが利用できなかったために購入を諦めたことがあると回答。キャッシュレスに対応していないと機会損失につながる可能性が高い。

● 日本人が持ち歩く現金の平均は17,879円で、オーストラリア(60ドル AUD、日本円で約 4,800円)の 3倍以上。
オーストラリアでは 10人に一人しか150ドル AUD(約 12,000 円)以上を持ち歩かないのに対し、日本では平均 17,879 円、全体の約 48.1% が 10,000 円以上持ち歩いている。また、オーストラリアでは全体の 14% が現金を全く持ち歩かないのに対し、日本では 1,000 円未満を持ち歩いている人は 3.1% しかいない。

● 日本の消費者の方が現金への依存度は高いが、クレジットカードや電子マネーなどの保有率で見るとオーストラリアと変わらない

● 日本では、約 5 割が 1 週間経たないうちに ATM に行ったと回答している一方、約 4 割は 1 週間以上ATM に行っていないと回答している。

調査概要


「現金のコスト意識とキャッシュレスに関する調査」
①従業員100人以下の中小規模事業者を対象とした調査
実施期間:2018年9月28日〜10月2日
対象:従業員100人以下の中小規模事業者に従事する632人
有効回答数:632名
調査手法:インターネットリサーチ(調査:ジャストシステム「Fastask」利用)

②全国の成人男女を対象とした調査
実施期間:2018年10月1日〜10月2日
対象:全国の20歳以上の男女
有効回答数:1,464名
調査手法:インターネットリサーチ(調査:ジャストシステム「Fastask」利用)

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