原料原産地表示の取扱い調査(食品製造業者対象) 

2017年11月30日
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業は、平成 29 年 7 月に実施した「平成 29年上半期食品産業動向調査」において、食品製造業者 1,695 社を対象に原料原産地表示(※)の取扱いを調査しました。

その結果、食品製造業者の 87.6%が原料原産地表示を「実施済み」または「実施予定」であることがわかりました。また、食品製造業者の 46.6%が原料原産地表示を商品 PR などの営業・販売戦略に活用できると考えていることがわかりました。

(※)平成 29 年9月1日に原料原産地表示制度が改正され、国内で製造または加工された全ての加工食品を対象に、一番多い原材料の産地を原則として国別重量順で表示することとなりました。

<調査結果詳細>

○ 食品製造業者の約9割が原料原産地表示を実施する意向(資料:図1、図2)

原料原産地表示の実施状況は、50.5%の企業が「既に実施している」と回答しました。
また、「現在対応中である(14.5%)」、「実施していないが、今後実施予定である(22.6%)」を合わせた 87.6%の食品製造業者が原料原産地表示を「実施済み」または「実施予定」であることがわかりました。
売上高階層別に見ると、売上高が小さい階層ほど既に原料原産地表示を実施している割合が大きくなる傾向にあります。(図1)
また、「現在対応中である」「実施していないが、今後実施予定である」と回答した食品製造業者(555 社)に対して、検討している表示方法を聞いたところ、「国別重量順表示(※1)を行う」が 61.3%、「産地を切替える可能性があるため、可能性表示(※2)を行う」が 28.8%、「輸入国が3か国以上のため、大括り表示(※3)を行う」は 9.9%という結果となり、約6割が原則的な国別重量順表示を検討していることがわかりました。
売上高階層別に見ると、売上高が小さい階層ほど国別重量順表示を、売上高が大きい階層ほど可能性表示を検討している割合が大きくなる傾向がうかがえます。(図2)

(※1)「国別重量順表示」とは、対象原材料の産地について、国別に重量割合の高いものから順に国別を表示する方法。原料原産地表示制度では国別重量順表示が原則となっている。
(※2)「可能性表示」とは、原産地として使用可能性がある複数国を、使用が見込まれる重量割合の高いものから順位に「又は」でつないで表示する方法。
(※3)「大括り表示」とは、3か国以上の外国の原産地表示を「輸入」と括って表示する方法。

○ 課題は商品パッケージの変更などへの対応 (資料:図3)

原料原産地表示を「実施していないが、今後実施予定である」「実施しておらず、今後も実施する予定はない」と回答した 497 社を対象に、原料原産地表示を実施するうえでの課題を調査したところ、「商品パッケージの変更(デザインやレイアウト等)」が 40.6%、次いで「原料原産地が変わる場合の速やかな対応」が 30.2%となり、原料原産地表示を実施するうえで、商品包装の変更などへの対応が課題であることがうかがえます。
売上高階層別に見ると、売上高が5億円未満の階層では5割以上が商品パッケージの変更が課題であると回答しています。(図3)

○ 5割近くが原料原産地表示を営業・販売戦略に活かせると回答(資料:図4、図5、図6)

原料原産地表示を営業・販売戦略に活かせるかを質問したところ、「大いに活かせる」または「活かせる」と回答した企業が 46.6%となり、5割近くの食品製造業者が原料原産地表示を営業・販売戦略に活用できると考えていることがわかりました。
売上高階層別に見ると、売上高が小さい階層ほど原料原産地表示を営業・販売戦略に活用できると回答している割合が多くなっています。(図4)
また、原料原産地表示を営業・販売戦略に「大いに活かせる」「活かせる」と回答した 743社を対象に、原料原産地表示の活用方法を調査したところ、「商品PR」が 60.8%と最も多く、次いで「競合他社商品との差別化」が 57.3%となりました。原料原産地表示により製品の由来を消費者に伝えることで、営業・販売への有効活用を考えていることがうかがえます。(図5)
一方、「あまり活かせない」「活かせない」と回答した 493 社に対して、活かせない理由を聞いたところ、「効果が期待できない」が 43.6%、次いで「営業販売戦略との関連性が乏しい」が 43.0%、「表示のためのコストが増加するだけ」が 39.8%、「表示のための工程が増加するだけ」が 26.8%となりました。(図6)


【調査概要】
調査時点:平成 29 年 7 月 1 日
調査方法:郵送により調査票を配布し郵送により回収
調査対象:全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業) 7,027 社
有効回収数:全体で 2,571 社(回収率 36.6%)のうち、製造業の 1,695 社

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[日本政策金融公庫]
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